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「接近展パートIII」-国立-
まちづくりとアート

報告書 


 接近展パートIIIと冠して昨年の府中展に続いて、シンポジウムと展示を行った。会期は成人の日を含む新年の10日間、現地は成人式会場のために、多くの方から作品の安全性に対する不安が述べられておりました。市民ギャラリーは閉鎖空間なので安心ですが、ピロティーや緑地、体育館へのアプローチの手摺に取り付けた作品に対しての悪戯や破壊は他の市では「日常茶飯事である」ということなので大分心配をしておりましたが、結局は常識の範囲で特別もんだいはありませんでした。

 「まちづくりとアート」と表したシンポジウムには40名程の参加があり、まちづくりに関心の深い方々が、国立を中心に府中、国分寺、小金井と近隣から参加された。パネラーには建築家の安部貞司さん、「全ての市民のための美術推進委員会」の小野沢せつ子さん、若い行政官の太田さんを迎えて「まちづくりとアート」を考えました。

 パネラーの安部さんは建築家で府中市でまちづくりに積極的に関わり「民が考えたまちづくり」をまとめ、府中市長に提言しているということで、普段アーティストの集まりには無い新鮮な感覚を注入してくれました。

 今回のシンポジウムで盛り上がった内容では「国立駅の駅舎保存問題」でした。アーティスト、市民などから見ると国立駅駅舎は唯単にJRの建築物ということではなく、市民の心の拠り所であり、国立の景観の中心であり、その重要性を見過ごすべきではないとの意見が出席者から語られました。

 展示に付いて、接近展のパート?ということでしたが新しい
試みはしませんでした。とにかく国立で展示を始めること、それも公共的野外空間を含み、それがどのような取扱いを受けるかと言う感触を得たいと思ったからです。今後の国立展を考えた時に、将来の展開をどのように捉えて行くかということが大きな課題でした。国立という環境を考えると将来的には大学通りを展覧会の会場へ考えることができる空間的なキャパシティとそのことに対する潜在的な要求があり、立体やインスタレーションの展示の実験工房を、国立駅から2km続く大学通りに見出せると思えるからです。何も産業のない国立がそこにある特性を生かすという先例を付けることによって、まちづくりのヒントを考えてもらおうという試みだと考えて欲しいと思っております。

大塩英生

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